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正木秀明の

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どの部屋にもなじむアート。アーティスト正木秀明の作品を紹介
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高知県在住の正木秀明さんはアートをWebでいち早く販売を始め、多くのファンを持つアーティスト。

今回はこの正木秀明さんの世界観に迫っていきます。

正木秀明という名前のアーティスト


正木秀明(Hideaki Masaki)は、1980年高知県生まれのアーティスト。2008年に上京し、活動をはじめたころはアーティストネームとして「IROSOCA」という名前を名乗り、グラフィティTシャツなどを作って販売していました。

あるとき、とある人物から「絵描きのTシャツは売れる」というアドバイスを受け、2017年ごろから正木秀明は絵画制作を始動。「飾ると部屋がいい感じになる」という、「売る」を目標としたアグレッシブな姿勢で、ファッション感覚で飾れる絵を製作しています。

これまで絵画を数百点販売してきた実績があり、作品販売の拠点はアート通販サイトのタグボートなど、主にインターネット上の取り扱いが主流。全国どこに住んでいても、正木秀明の作品を手に入れることができます。また、ハンドメイド、インテリア関係のイベントにも参加することも。

作品は動物の絵がメイン。動物をモチーフにした絵画や彫刻などのアート作品は人気であり、正木秀明も特に2019年ごろからは可愛らしい猫の絵を中心的に手がけています。

絵画作品を手掛ける手法は主にキャンバスにアクリルですが、ステンシルを用い、同じシルエットで異なるバージョンのものを複数製作することも。なかには、同じくステンシルを用いてグラフィティを手掛けるアーティストのバンクシーを意識したと思われる作品もあります。

2015年に正木秀明は感染症が原因で体調を崩し、心臓の手術を受けたことで日々生きることについてひたむきに考えるようになった、というエピソードも。

そうして思いがけず人生に転機が訪れた正木秀明ですが、2017年からは拠点を地元の高知県に移し、2018年からは「IROSOCA」から本名である「正木秀明」に作家名を改めました。

正木秀明アーティストしての姿勢はどこか「ストリートアーティスト」的であり、素朴で単純明快。たとえ「高尚な現代アート」というものが理解できなくても、正木秀明の作品はきっと手に入れてみたくなることでしょう。

正木秀明の作品

SNSやウェブ媒体などあらゆる場に参加して、Tシャツなどのグッズ、そして絵画の販売をはじめた正木秀明。現在も発表の場の中心はオンラインショッピングであり、タグボートやCreemaなどの通販サイトで作品を回覧、購入することができます。

それらの一覧から、正木秀明およびIROSOCAの作品の一部をご紹介します。

青霧(もや)の猫

制作年 2019
素材、技法 キャンバスにアクリル
サイズ F8(379mm×455mm)

正木秀明は2019年から、猫の絵をメインに描いています。タグボートのインタビューにて、猫の絵を描く理由は「買い手の反応が良い」という明確な理由を語り、正木秀明の職人的な気質が伺えます。

薄く溶いたアクリルが乾かないうちに描かれた、猫と背景の境界線が滲んだ様子、背景の星の模様がポップ。

正木秀明の作品は、愛らしいインテリアとして、恋人へのプレゼントにもおすすめの作品といえるでしょう。

或る生物〔おやつ〕

制作年 2018
素材、技法 キャンバスにアクリル
サイズ 53×45.5cm

ビビッドな赤の背景に、片手に「スニッカーズ」と思われるアメリカのお菓子を持ってポーズをとる「ある生き物」が描かれています。正木秀明はこの作品について「手にオヤツを持った何か」とコメントしており、そのシュールさも相まってユニークで可愛らしい作品です。

毛並みのもさもさとした、まるで雪男あるいはイエティのような謎の生き物。そしてこのポーズも相まって、「おやつを持ってとんずらするところなのか?」というような状況を想像してしまうでしょう。

くま(ポーズ)

制作年 2018
素材、技法 キャンバスにアクリル
サイズ 53×45.5cm

正木秀明の作品は平和的で堅苦しいコンセプトを持たないため、インテリアとして部屋の家具や壁紙との相性が良く、また会社のオフィスやロビーなど公共の場を賑やかに飾ることができます。

この《くま(ポーズ)》も、ブルーとグレーのシンプルなカラーリングで、まさに正木秀明のいう「部屋に飾るといい感じ」な作品。ブレイクダンスのようなポーズをとるテディベアのようにデフォルメされたくまが可愛らしく、子供部屋にピッタリでしょう。

スプーンはまだ曲げられない(ed:2/6)

エディション 2/6
素材、技法 紙にステンシル、スプレー
サイズ 29.7x21cm

ステンシルとスプレーで描かれた、イギリスのグラフィティアーティスト、Banksyにインスピレーションを受けたと思われる作品。男の子の陰影のつき方なども、Banksyの壁画に似ており、正木秀明のBanksyに対するリスペクトを感じられます。

こちらの作品はハンドメイド通販サイトの「Creema」で展示作品として追加されているもの。正木秀明は作家として活動する現在も、「IROSOCA」の名前を継続してTシャツやスマホケースなどのグッズを販売しています。

「アーティストの手がけるアイテム」として人気であり、キャンバスに描かれた絵は敷居が高いと感じる人にも受け入れやすいアートといえるでしょう。

「美術」と「インテリア」のあいだ

美術大学や芸術大学で正規の美術教育を受けた人は、口を揃えて「日本のアートシーンは遅れている」と言います。美術の最先端とされているヨーロッパやアメリカのアートマーケットや美術教育のシステムを目の当たりにした人ほどそのように考えるでしょう。そして、その認識はさほど間違ってはいないのが現状。

しかし近年、一般的なサラリーマンでも少しずつ手の届く範囲でアートを購入する人が増えており、特に若手作家の作品をコレクションに追加することも一部で普遍化しつつあるようです。正木秀明のように、ハンドメイド通販サイトからはじめてアーティストに転向した人もいるので、特にオンライン上で「アート」に触れやすい土壌が知られてきたのかもしれません。

また、ツイッターやインスタグラムなどのSNSで検索すれば、展覧会に参加した人や、アート作品の写真を無料で簡単にみられることもあり、アーティストの存在は必ずしも遠くはありません。正木秀明も、そのような「近しい」作家のひとりです。

ただ、「アートを見る」機会と「アートを買う」機会はまた別物でしょう。欧米では絵画などのアート作品を購入するのは非常に一般的ですが、日本では「買う人しか買わない」のが現実。

そこで、「欧米の人は審美眼が違うのだ」というのもまた異なります。彼らのほとんどは、有名な作家、名前の知られていない作家関係なく、どんな美術作品でもインテリア感覚で購入し、家に飾ります。アートの買い手は必ずしも、その作品のコンセプトを100%把握している訳でもないし、理解しなければ買えない、ということもないのです。

正木秀明の絵画は、そのように気を楽にして、アートを手に入れるきっかけになるような「プレーン」な作品だといえるでしょう。キャンバスに描かれた動物をただただ「かわいいな」と思える、素晴らしいインテリアとなります。

そうして正木秀明の作品のような易しいアートを飾るのに慣れてきたら、次はより難しい、より哲学の深い作品をコレクションに追加していくことをおすすめします。そのアーティストの積み重ねてきた考え方や、技術を含めて、その作品に共感し感動できるなら、掛け替えのない財産となることでしょう。

まとめ

正木秀明の作品は、特別な絵画やアートの素養がなくても、大人から子供までも楽しめる絵画であり、またTシャツやスマホケースなどのファッションアイテムも人気。

アート通販サイトやハンドメイド通販サイトなどオンラインショッピングで作品を手に入れられる身近な作家であり、正木秀明の作品はアートコレクションの入り口として親しみやすいものといえます。

「どのような部屋にもなじむ」絵画のため、個人宅のインテリアとして、また大切な人へのプレゼントとして愛されるでしょう。

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