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西野達(nishino tatzu)という日本を代表する現代アーティストをご存知でしょうか。
「内と外の転換」をテーマに主に公共空間を舞台に大型インスタレーション展示を行なっている人気アーティスト。
インスタレーションとはギャラリーや展覧会場を飛び出して野外、屋内で彫刻や絵画やその周りの環境を、観客に提示する芸術的空間展示のことです。
西野達にかかればシンガポールのシンボルマークのマーライオンでさえ周りを囲って、ホテルの一室として再構築してしまうなんてことも。
この記事ではそんな注目の現代アーティスト、西野達の経歴と作品、今後の活動について紹介していきます。
目次
人気現代アーティスト 「西野達」とは何者なのか
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西野 達(nishino tatzu)。
1960年生まれの愛知県名古屋市出身。武蔵野美術大学を卒業後、ドイツのミュンスター美術アカデミーへ進学。
1997年から屋外の公共の建造物やモニュメントを部屋などで取り込む大型プロジェクトをいくつも行なっており、現在はドイツ ベルリンと東京を拠点に活動しています。
西野達の作品は、主に都市にある公共空間を舞台に大掛かりなインスタレーション作品を制作、大規模アートプロジェクトが中心。
街のモニュメントや街路灯などを取り込んで部屋を建設し実際に宿泊できるホテルとして営業するなど、固定概念を覆す大規模なインスタレーションを繰り広げ国際的に評価を受けています。
パブリックな空間のなかにプライベート空間を取り込む「西野達」の作品。
日常的視点を転換させ、我々の固定概念をその強烈な印象で壊し、アートとは何かを考えさせられます。
西野達の独創的なユーモア溢れるアイデアは常に世界中をあっと驚かせ、普段アートに関心のない一般の人にアートの可能性を問いかけるのですね。
西野達の展示作品は「笑い・暴力・セクシー」をコンセプトとキーワードにしており、アートの新しい方向性を示しながら時代の最先端を走っていると言えるのではないでしょうか。
実際にマーライオンを取り囲みホテルを建設、あのシンガポールのモニュメントを部屋にある置物かのように変貌させた『The Merlion Hotel』(2011年・シンガポール)。
マンハッタンに立つコロンブス像の周辺をリビングルームにした『Discovering Columbus』(2012年・NY米国)は多くのメディアにも紹介され、大変話題にもなりました。
2018年には『第68回芸術選奨美術部門文部科学大臣賞』を受賞。
これからも活躍を期待できる現代アーティストです。
海外ではアメリカ・マンハッタン、シンガポール、ロシアのエルミタージュ美術館など主にヨーロッパを中心に活動。
日本でも「あいちトリエンナーレ」、銀座エルメスでの「天上のシェリー」、「西野達in別府」にてプロジェクトを数々開催しています。
主な海外・国内の代表作品について
これまで少し触れた西野達の代表的な作品事例を3点について具体的に紹介していきましょう。
マーライオンをホテルに変えたプロジェクト 《The Merlion Hotel》
2011年に開催された「シンガポールビエンナーレ」にてマーライオンを壁で取り込まみホテルを建設しました。
昼間は展示作品として一般に公開され、夜20時〜翌朝9時までは実際にマーライオンホテルとして営業。
シンガポールの象徴である本物のマーライオンを作品の一部に取り込んだこの作品はシンガポールの人だけでなく、世界中の人を大変驚かせました。
この西野 達の生み出した「マーライオンホテル」はチケットが売り出されると同時に、わずか1時間で予定されていた2ヶ月間分のホテル宿泊の予約が完売するほどの人気に。
前代未聞なホテルで話題を呼んだこのマーライオンホテルですが、意外にも宿泊費は周辺の相場とそれほど変わりませんでした。
約1万円〜1万5千円で宿泊可能と、それほど高額ではありません。
ここに西野達の作品意義が見受けらるのかもしれません。
美術館やギャラリーでしかアート作品を見れないなんてつまらない。
「普段アートに触れない人にもアートに触れてもらいたい」というのが西野達の狙いなのではないでしょうか。
この西野達のプロジェクトを知らずにマーライオンを目的に訪れた観光客は、変貌したマーライオンの姿にさぞ驚いたでしょう。
これは本当!?コロンブスのいる空中のリビングルーム《Discovering Columbus》
マーライオンと同じように都市のモニュメントをアート展開した西野達の作品で有名なのが、アメリカ・マンハッタンのコロンブス像をリビングに仕立て上げた《Discovering Columbus》。
ニューヨークのコロンバスサークル広場の中心に位置するコロンブス像の周りを壁で取り囲み、コロンブス像が飾られたリビングルームを作り出した作品です。
120年前から立つサイズ約4mのコロンブスのブロンズ像はこれまでの人々が抱くイメージ像とガラリと変わり、リビング内のひとつのインテリアに。
地上から部屋までは20m以上離れているリビングルームまで階段かエレベーターで上がることができ、
普段は遠目で眺めることしかできないコロンブス像を間近に見ることができました。
部屋の内装は現代の日常的な部屋になっており、ソファやテーブル、薄型テレビ、本棚などが置かれており、窓からマンハッタン・セントラルパークの景色を一望することもできました。
普段目にしているものの常識や印象をガラッと変える。西野達の展示作品はいつも我々の思考や想像の上をいく衝撃と新たな発見、そして驚きをもたらしてくれます。
パリに壮大なドールハウスを出現《A Doll’s House》
パリで行われた日本人漫画家を含む国際的なアーティスト、フランス工芸職人などによる多彩な作品を現代美術的なアプローチで紹介する日仏共同企画の展覧会「Enfance/こども時代」。
西野達はこの展覧会に参加しました。
最先端の現代アートを発信する美術館、パレ・ド・トーキョーのエントランスに巨大なドールハウスを出現させたのです。
会場の入り口に設置され、華やかなこの作品は写真撮影のスポットとしても多くの人を集めました。
リカちゃんハウスなどのドールハウスは本来、遊具として簡素化、ミニチュア化されていますが、この西野達のドールハウスは現実サイズで作られていました。
3階立てのドールハウスは本来プライベートな空間であるはずのものですが、人々を招き入れるゲートとしての役割も果たしているという、こちらも人々を一瞬混乱させるような、いわば西野達の悪戯心とも言えるのかもしれませんね。
2017年には別府で行われた『in BEPPU』に参加
『in BEPPU』は2009年から3年に一度行われるアートプロジェクト。
第二回となるこのアートプロジェクトに西野達が招かれて、展開したのが「西野 達 in 別府」です。
この「西野 達 in 別府」は別府名物、地獄めぐり(点在する温泉めぐり)にちなみ、”芸術めぐり”をテーマに別府の市街地の各所に屋外インスタレーションや写真を展示するというもの。
インスタレーション作品4点と写真作品9点の場所が示された『西野 達 in 別府 アートまちあるきマップ』が無料配布され、人々はそのマップを手に街を歩き回りました。
それにより人々は別府の街の秘められた、また気づかれていなかった魅力に出会ったのですね。
2020年「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス」に出展予定。
圧倒的なスケールとユーモア溢れる西野達の作品事例を4点ほど紹介しました。
ここまでくると実際に西野達の作品を直接見てみたいと思えてくるのではないでしょうか。
そんな方に是非お知らせしたいのが、2020年3月から西野達の作品を生で見ることができるチャンスについて。
千葉県市原市にて房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020が開催されるのですが西野達も参加しています。
2014年から3年に1度 開催されるこの芸術祭は、今年で3度目。
注目の西野達の作品は上総久保駅に作品が展示される予定です。
この機会に西野達の作品を直接見て触れてみてはいかがでしょうか。
房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス概要
房総の里山から世界を覗く
市原市の里山や閉校した学校、小湊鉄道の駅舎を舞台に、世界各国のアーティストによるアート作品を展開する芸術祭「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020」。
Information
開催エリア:小湊鉄道を軸とした周辺エリア
五井、牛久、高滝、平三、里見、月崎・田淵、月出、白鳥、養老渓谷
主 催:いちはらアート×ミックス実行委員会実行委員会会長小出譲治(市原市長)
<西野達作品概要>
作品番号 EP-4
展示会場 上総久保駅
個別鑑賞料 300円 夜間鑑賞料別
夜間鑑賞料 日程:毎週土18時~
限定1組、申込方法等詳細は後日追加掲載いたします。
西野達の関連情報記事まとめ
西野達の大胆かつユーモア溢れる作品は驚きと共についついクスッと笑ってしまうのが特徴です。
しかし西野達の作品は決して奇をてらったものというだけではありません。
日常にあるモノを違う見方で見ることにより新しい一面や気づきをもたらすものだということを人々に気づかせてくれるのです。
日常生活で想像力を備えること。想像することで人は無限に世界を広くすることができるのかもしれません。