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小松美羽は、現在34歳にして回顧展の経験を持つ、日本の版画家、および現代アーティスト。日本の風土をコンセプトに、力強くダイナミック、そしてスピリチュアルなコンセプトを持つ注目の画家です。
その美貌から「美しすぎる画家」とも称される小松美羽ですが、2015年には彼女の手がけた有田焼の狛犬が大英博物館のコレクションに決定するなど、若くしてアーティストとしての成功を収めています。
そんな小松美羽の活躍、そして狛犬との関係について追っていきましょう。
目次
世界から評価される小松美羽
小松美羽(こまつ みわ)は、1984年長野県生まれの美人女性画家として知られています。女子美術大学の短大に入学し版画を専攻、その後引き続き大学部に編入し、四年間銅版画を学びました。
小松美羽はカミ、もののけ、神獣、魑魅魍魎といった日本神話の世界観と、表現主義的な独特の画風が評価され、また2009年には「美しすぎる銅版画家」としてメディアから注目を集めます。その美貌をきっかけとして、小松美雨は日本の信州を拠点にプロとして製作活動を始めました。
阿久悠のトリビュートアルバムのジャケットと挿絵の製作、2010年にはディズニーストアとのコラボレーション、2012年は長野県北の美術館別館にて個展「小松美羽展 信州からの覚醒と神秘〜原点〜」を開催。2014年には出雲大社に作品を奉納するなど、国内を中心として多くの活躍を見せます。
そして2015年には庭園デザイナーの石原和幸との共作をもってイギリス、英国王立園芸協会主催「チェルシーフラワーショー」にエントリーし、有田焼の狛犬を庭の守護神として展示し、その庭園「EDO NO NIWA」がゴールドメダルを受賞。小松美羽の狛犬は高い評価を受け、大英博物館のコレクションとして収蔵されました。
それから国際的な活動も軌道に乗り始めます。香港やシアトルのアートフェア出品、2016年にはニューヨークでのライブペイントで制作した絵画が「4ワールドトレードセンター」に収蔵されました。
現在も国内外で活躍を見せる小松美羽の作品は、日本固有の神話や自然信仰、または中国神話における神獣を主なテーマとして描かれます。山犬、狛犬、龍や鳳凰などをモチーフにした大胆な画面構成は、イラストとしても高く評価され、ファッションやデザインブランドとのコラボレーションも多く手がけており、アートの世界を超えた活動も人気。
小松美羽の絵画は、現在は銅版画よりもアクリル・ペイントが主流。原色を大胆に配置した神獣の絵は激しく、荒々しく、怒りをたたえたような表情が特徴的です。その歪んだフォルムは縄文時代のような様式を思わせ、古代日本の深淵に誘うかのよう。
特に、小松美羽の描く神獣、聖獣に特徴的なのがその瞳の描写。こちらをまっすぐと見据える異界の獣たちの瞳は、色鮮やかな絵画の中でもひときわ色彩に富み、思わず立ちすくんでしまうような恐怖すら感じられます。時にコロリとした可愛らしいフォルムの神獣が放つその眼力は神秘的ですがどこかおどろおどろしく、触れてはいけない「カミ」の世界を覗き込むようなエキゾチズムが。
小松美羽の描く「この世」と「あの世」を仲介する霊的存在の原点とは、霊視ともいえる幼少時のスピリチュアルな体験が由来しています。他の人には見えない「生き物」を唯一目にすることができ、それをスケッチしたり絵にすることが小松美羽の創作活動のはじまりとのこと。
また、祖父の死に目にあったとき、その魂が抜ける瞬間を目にしたことも、その描く世界観に影響しているといいます。その出来事をきっかけに、死生観について深く考えさせられ、人間や動物、全ての生き物に平等に訪れる死を、悲しみではなく希望であるとして捉え、絵に表現することが自分の役目として小松美羽は受け止めているのです。
【小松美羽さんの作品を県庁で展示中】長野県坂城町出身の現代アーティスト小松美羽さんが昨年9月に開催されたG7長野県・軽井沢交通大臣会合を記念して製作した作品「灯し続け、歩き続け」を県庁2階で展示中。併せて15日に知事を表敬訪問します。https://t.co/pbFAZv5G9V pic.twitter.com/rUqvVKiaMH
— NaganoPref (@NaganoPref) March 10, 2017
肉体を全うして魂となるとき、その人の生き物としての本質が見えてくる。そのようなスピリチュアルの世界と、日本の神秘的な風土から生まれた表現から、世界に注目されるアーティストの小松美羽。
その作品のなかで度々モチーフとして登場するのが「狛犬」。大英博物館に収蔵された一対の狛犬像をはじめとして、絵画中にも多く出現します。
小松美羽と狛犬の関係
小松美羽が好んでモチーフとして表現する狛犬や山犬。小松美羽とそれらの神獣としての犬にはどのような関係があるのでしょうか。その「狗(イヌ)」の描かれた絵画について掘り下げてみましょう。
小松美羽は、長野県の豊かな自然に囲まれて育ちます。近所の神社に遊びに行くと、妖精のような、妖怪のような、他の人の目には見えない不思議な存在が小松には見えたとか。そのスピリチュアルな体験を絵にすることが、小松美羽の作品の原点となっています。
その幼少時の霊感体験のひとつに、「茶褐色の山犬」との出会いがあります。小松美羽が道に迷うと現れて道案内をしてくれたその山犬はいつの日か目の前で消えてしまったといいますが、展示やライブペイントのために海外に赴いた際も、その土地に潜む「存在」の気配を感じることがあったといい、霊的存在との繋がりは今も健在。
その体験が、小松美羽の狛犬や山犬の絵の表現に関わってくるのでしょう。ただの想像の中のイメージではなく実際その目にした経験から、絵筆をとっています。その霊的存在である「狗」は、この世のものではなく、生と死の狭間にある存在。小松美羽のカラフルな作品からは単なる幸せや喜びの表現ではない、デロリとした生々しい死生観を受け取ることができます。
ジブリ映画「もののけ姫」に出てくる荒ぶるカミのような神秘的な描写により、その存在感の際立つ狛犬、山犬の作品。守護獣として描かれるその狗の作品は、特にイギリスの大英博物館も所蔵する有田焼の狛犬の立体作品が人気。
その製作方法は、有田焼のメーカー「アリタポーセリンラボ」に造形を委託し、狛犬像を制作してもらい小松美羽が絵付けをするという手法。美術作家の多くが、立体作品の制作時も自身で立体制作を行う中、小松美雨は委託制作を行うことで、精巧な磁器彫刻に仕上げています。大英博物館が所蔵する狛犬の作品も、「アリタポーセリンラボ」の制作です。
アリタポーセリンラボの狛犬の制作方法は、小松美羽の描いた原画を基にして、職人が造形をし、焼きあがった有田焼に小松美羽本人が絵付けをするという手法。伝統工芸とアートのコラボレーションにより、ハイクオリティな造形により、小松美羽の絵画から飛び出したような狛犬像が実現しています。
有田焼の狛犬は、その素材とモチーフ独特のエキゾチズムの魅力から、アジアからアメリカ、中東にも進出し、日本の現代アートとして評価されています。小松美羽自身にとっても狛犬のモチーフは最も重要だといい、狛犬研究家を自負するほど。
絵を描くことを、神に与えられた宿命だとして創作を続ける小松美羽。海外に赴いた際にも、彼女の周りに現れる霊的存在をとめどなくスケッチし、生と死の狭間を仲介するシャーマンのように、これからも私たちにスピリチュアルな小松美羽の世界を見せてくれるでしょう。
美しすぎるアーティストが生み出す狛犬とは まとめ
小松美羽は信州を活動拠点として、現在も旺盛に活動を続けています。
彼女の見る霊的存在は、現代社会に生きる私たちが封じ込めてしまっている野生的な感覚を粟立たせるように描かれ、胸の中心、奥深くの部分に触れるかのようです。
守護獣である狛犬も、可愛らしくもあり恐ろしくもあり、多くのファンを惹きつけてやまないモチーフとして高い人気を誇ります。有田焼の狛犬も、大英博物館をはじめとして各地に展示されており、版画の作品は銀座三越のオンラインストアで販売されることも。
公式インスタグラムでも日本をはじめ世界各地で行うライブペインティングの映像が配信されるなど、最新情報が常に更新されるため要チェックです。