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美術好きが注目するべき絵画やアートを紹介

特集
今知っておくべき現代アーティスト!時代を切り開く若手画家8人
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現代に生きる作家の中でも、有望でありつつまだ世に名前が売れていない若手画家は多く存在します。人気の若手画家はギャラリーなどで取り扱いがあり、絵画や版画などの作品が販売されていますが、それほどまでに高額でもないので、一般のサラリーマンの給料でも十分購入できるものも。

そうした若手画家は若手のうちに目をかけておくと、いずれ有名になった時に作品の価値も高騰する可能性があります。ちょっとしたアートの購入から、いつか思わぬ財産を手に入れるかもしれません。

それ以上に、アートファンなら人気の作品はまだ安価なうちに手に入れておかなければ、いつかオークションにかけられるような作家となった時には、その作品は欲しくても手に入らなくなってしまうかも。将来有望な若手画家のことを知り、お気に入りをウォッチしておきましょう。

今、注目される憧れの若手画家3人

まずは、若手画家のなかでもすでに成功している、注目の作家を見ていきます。

以下3人の若手画家は、日本の有名ギャラリーのお墨付きの人気作家たち。作品販売の場所も見つけやすく、アートコレクターなら是非手に入れておきたい絵画の数々を生み出します。

新人アーティストの憧れである彼らの作品と、のちに紹介するこれからの活動がより期待される若手画家の傾向を把握し、今の日本のリアルなアートシーンに足を踏み入れてみましょう。

今井 俊介

1978年 福井県出身

今井俊介は、キャンバスにアクリル画の作品を製作する若手画家。平面的な図形や色彩の絵画構成は一見デザイン的ですが、そこには私たちが「ものを見る」ということの根本的な問いかけが潜んでいます。

ストライプやドットなどの様々な柄の布を重ね合わせたような構図の絵画も、シンプルでミニマル、かつどこまでもフラットな様相。しかし、常にどこかズレや歪みで視差を持たせ、画面の中に立体感を感じさせます。

ぱっと見は居心地のいいインテリアのような作品でも、「見る」という網膜から感じられる感覚を知らずのうちに操作されているというような、油断ならない絵画作品を制作する若手作家です。

今井の作品展は東京を中心にシカゴでも行われ、東京都現代美術館にもパブリックコレクションとして作品が収蔵されているなどと、有能な作家であることがうかがえます。また、カルバンクラインなどファッショブランドとのコラボレーションも手がけ、「見る」ということにまつわる表現を広げています。
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カネコ タカナオ

1977年 埼玉県出身

カネコタカナオは、ストリートカルチャーを踏襲したグラフィティー・アートにも似たドローイングを描く若手画家。ポップなキャラクターのモチーフは、日本の「マンガ」的な印象を持ちつつ、どことなくデモーニッシュで不穏なイメージです。

白地の紙やキャンバスボードに黒のアクリル、またはチャコールペンシルなどでペイントされるモノクロの絵画は、その線描やトーンからビアズリーの版画を想起させます。また、可愛らしく、どこか懐かしさもあるその絵画からは、現代の情報社会からあふれんばかりの電脳的モチーフが目に飛び込んできて、そのアクの強い印象はいつまでも脳裏に残るかのよう。

近年は昔のゲーム機であるファミコンなどのコントローラーを画面の中心に大胆に貼り付けた、奇抜な構図のドローイングも制作しているカネコの絵画は、ミレニアル世代の子供時代の「夢」そして「悪夢」を想起させます。アート鑑賞の初心者にもおすすめの若手画家のひとりです。
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榮水 亜樹

1978年 福井県出身

榮水亜樹(えいみず あき)は、白を基調とした絵画を制作する若手画家。主に純白のコットンクロスを画布とし、アクリルや水彩を用いて、まるで音の聞こえない世界、あるいは側に誰かいるとしたら、その人の微かな呼気のみを感じられるかのような、どこまでも静かで無垢な世界を描いています。

白い画布に白の絵の具で描かれる細密な点描は、部分的に草間彌生の水玉模様を想起させますが、しかし榮水の絵画は草間の弾けるような、毒を孕んだエネルギーではなく、ひたすらに静謐なるもの。見る人の意識を拡散させていくかのような禅的な画面と対峙すると、「自分がもしこの絵のように霧散していったら、何が残るのか…」と瞑想したくなるような気分に。

あるいは、まるで「真綿で首を絞める儀式」の生贄になった気分、ともいえるかもしれません。やさしさを思わせるその存在感ですが、人間の「無意識」に触れるかのような危険も孕んでいる絵画です。
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さらに活動を期待される若手画家5人

ここからは、次世代のアートシーンを担うであろう、注目の若手画家についてご紹介。まだその作品が人目に触れる機会の少ない作家もいますが、これからさらに活動を期待される若手画家を今からチェックしておきましょう。

村松 佑樹

1988年 山梨県出身

村松佑樹は、アーティスト、またイラストレーターとして活躍する若手画家。植物やインテリアなどの静物や風景のドローイングやペインティングを主な作品としています。

村松の絵の多くは、鉢植えのアロエや花瓶に生けられた水仙の絵、数々のうつわなど、生活の中で馴染みのあるモチーフ。見る人すべての心の中にストンと落ち着くような絵の数々は、「自分の家のどこにあって欲しいか」と想像を掻き立てます。

また、丁寧でおちついた観察眼により身の回りのものや風景をとらえ、物体の立体感・遠近感を消失させたような独特なパースぺクションで描かれるペインティングは、ギャラリーなどの展覧会では人目を引き、生活空間の中にあれば静謐な存在感を持つでしょう。

学生時代はエジプトの壁画やクレーに惹かれ、マティスやブラックから影響を受けたという村松の絵は、物質のシルエットをより浮き彫りにしつつ、「身の回りにある、私たちの思っているモノ」という存在を打ち出しています。

現在は埼玉県を拠点として制作をしつつ、また墨田区の街のギャラリー「gallery TOWED」を運営する1人として企画・展示も行い、美術をより生活に自然に取り入れられる存在とするべく活動を続けています。
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川田 龍

1988年新潟県出身

川田龍(かわだ りょう)は、リアリズムや抽象を同時に画面上に手がける、油彩をメインにした若手画家。絵画史に精通しており、アンドレア・マンティーニャの「死せるキリスト」の題材や、ジョルジュ・モランディの静物画の構図を彷彿とさせる作品など、伝統的な絵画のオマージュも見られるインテリジェンスの作家です。

川田の静物画のタイトルに現れる「Vanitas/ヴァニタス」とは、「人生の虚しさ」を示す、ヨーロッパ北部で16-17世紀に描かれたテーマ。人間の豊かさを表す「製品」の並ぶ中、砂時計や腐りゆく生物、または頭蓋骨といった「死」を連想させるアイコンを置くことで、いずれ死ぬ人間の生の儚さを示すものです。

しかし、川田の油絵からは静物画のみに関わらず、その作品全般において、人間存在の脆さや肉体という「容器」のもつ「限定的な時間」を考えさせられます。その、正面からストロボを強く焚いた写真のような光源で描かれる作品を目前にすると、あまりの苛烈さにまるで胸の奥を突き刺されるかのような感覚が。

ベラスケスやマネの古典から近代にかけての西洋絵画の技法、そして現代ではセルゲイ・ジェンセン、岳敏君らの影響を受け、日本に生まれた「絵描き」として真摯に絵画と向き合う川田龍。日本で活動する画家として注目すべき人物であるほか、自ら絵画教室を開き、その高い技術から指導しているメンターとしての一面も持っています。
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片平 ゆふ子

1991年 神奈川県出身

片平ゆふ子は、絵画やインスタレーション作品を用いて人間の精神世界(インナースペース)の表現を主な試みとし、また現代文化や時事問題にも精通した若手画家。

自画像を基とした奇怪なよじれた宇宙のような絵画や、セーラームーン、乙女ゲームなどといったサブカルのオマージュ作品なども多く手がけています。油彩を主とした表現方法としていましたが、近年では合成樹脂を使用し、人間の皮膚/表皮の存在に焦点を当てたインスタレーション作品も発表。

また、「包まれたポン・ヌフ」などのインスタレーション作品で知られるクリスト&ジャンヌ=クロードを自身の理想的な作家像とし、閉鎖的な美術界の内部と外側をつなげる活動として「マジカルバブルス」というYouTubeチャンネルを展開。さまざまな作家にインタビューを行うなど、絵画制作だけでなく幅広い活動を見せています。

片平は、自身も作家でありながら、社会から隔絶されがちなハイ・アートの世界のあたかも「特別な存在」であるかのような作家像を壊し、誰もと並列に存在している美術作家の存在を広めようとする人物。日本の現代美術のシーンにおいて、重要な役割を見出した若手作家です。
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田中 彰

1988年 岐阜県出身

田中彰(たなか しょう)は、主に木版画を専門とした若手画家。通常の彫刻刀で版木を掘るのではなく、はんだこてのような電熱ペンで版木の繊維を焼くことが特徴的。木版で刷った平面作品だけでなく、版木そのものを立体作品として魅せる作家です。

その木版画は、規模の大きな作品であっても版木の一つひとつが小さなものが多く、その手に収まるほどの版木から作られます。そこから刷られた版画も版木も、どこか「円空仏」に似た護符のような、「祈り」のためのマテリアルであるかのような感触をもたらすでしょう。

日本の自然に囲まれて育った田中は、森、土、土地に住まう人々など、その地に根付いたものに目を凝らしながら、それらの自身が触れたものを通して木と対峙し、制作を行なっています。また作家としてブラジルやネパール、インドネシアなどの海外の第三世界の地でも活躍しており、その土地の材料を利用した作品は、人間存在の根源的なあり方をやさしく表現しています。
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瀬谷草介

1987年 東京都出身

瀬谷草介(せや そうかい)は、現実とヴァーチャルを仲介した絵画を手がける若手作家。

その絵画を手がけるにはまず、アクリル絵の具や墨汁、鉛筆などを使ったドローイングという古来のやり方からはじめますが、これをPCに取り込み、Photoshopで絵画の画面をデザインすることが瀬谷の絵画の特徴。

私たちを取り囲む現実とその延長線上である電子空間の「ミキシング」をすることで、私たちにとってより“リアル”な世界観をその絵のなかに生み出しています。その絵画はまるで、フィリップ・K・ディック原作の映画「ブレードランナー」や、「マトリックス」「インセプション」などのSF作品に特徴される、もはや確かではない「脳内」の「仮想現実」を目の当たりにしているかのよう。

サブカルチャー、またストリートカルチャーなどの若者文化をとりいれながら、瀬谷自身の現実体験やインターネットで収集した画像などのマテリアルを参考にしたそのポップな絵画では、より広がりつつある「現実」または「パラレルワールド」を旅することができるでしょう。
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これからを切り開く若手画家8人 まとめ

80年代周辺生まれの作家、そして90年代周辺生まれの若手画家を比較すると、「イメージ」の世界や概念を描く前者に比べ、後者はより「日常」という概念を重視していることが見て取れます。

美術作家の描くものはその作家それぞれですが、その時代の「大切なもの」に由来する部分があります。現代の30代前後の若手画家が大切にしているのは、その「日常」なのかもしれません。ギャラリーや美術館のような空間よりも、私たちの家に、部屋にあることでその作品は初めて存在意義を発揮するのです。

「アーティスト」「芸術家」というとまるで近寄りがたい存在かのようですが、実際のところはこれらの若手画家たちをはじめとし、非常に身近な存在であることは確かです。美術をより身近にし、「日常」を豊かに過ごすこと、または自分の中に鬱屈したどうしようもない感情の正体を明らかにするためにも、今このときの「リアル」を踏みしめながら生きる、若手画家とその作品に会いにいってみてはいかがでしょうか。

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