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ルノワール・セザンヌ・モネなどのコートールド美術館の印象派絵画鑑賞に行ってきた

レビュー
コートールド美術館展レビュー!編集部的おすすめ作品まとめ
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東京都美術館で開催中の【コートールド美術館展 魅惑の印象派】(2019年9月10日〜12月15)に行ってきました!

このページでは、コートールド美術館展の詳しい展示内容をレビュー。
さらに、独断と偏見でお気に入りの作品をまとめてみました。これからコートールド美術館展に行かれる方も、既に行かれた方も、ぜひレビュー情報を参考にしてみてください。

なお、「コートールド美術館とは?」などの基礎情報は以下のページにまとめています。

コートールド美術館展の詳細をレビュー

コートールド美術館展は
【1章:画家の言葉を読み解く】
【2章:時代背景から読み解く】
【3章:素材・技法から読み解く】の3章で構成されています。

それぞれの章の内容を簡単にご紹介しておきましょう。

1章:画家の言葉を読み解く

主にセザンヌの作品と解説が豊富でした。セザンヌについて理解を深めたあたりで、見どころである「カード遊びをする人々」が展示されています。

また、コートールド本人についても丁寧に紹介されていて、コートールド美術館の沿革を知ることができます。

2章:時代背景から読み解く

産業革命以降のフランス社会や生活風俗に関する絵画が中心です。ルノワールやドガなどの作品が多く、「桟敷席」も展示されています。

目玉である「フォリー=ベルジェールのバー」の前には、人だかりができていました!

3章:素材・技法から読み解く

コートールド美術館では、X線や赤外線で絵画を科学的に調査・研究しているそうです。この研究過程の一部のような、未完成の作品などが展示されています。

「ネヴァーモア」も展示されていました。

音声ガイドは三浦春馬

ちなみに、コートールド美術館展の音声ガイドのナビゲーターは三浦春馬さんでした。ファンの方にはたまりませんね!
※貸出料金:1台550円(税込)

編集部 玉木が選ぶ コートールド美術館展お気に入り作品ベスト5

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玉木
MUTERIUM 編集部
アートに興味はあるが、まだまだ勉強中。海外経験が長いので色々な有名美術館に行ったことあるのがちょっとした自慢。近代アートやモダンアートをいつか部屋に飾りたい。

コートールド美術館展には60作品の絵画や彫刻が展示されています。

エドゥアルド・マネの「フォリー=ベルジェールのバー」を筆頭に、ピエール=オーギュスト・ルノワールの「桟敷席(さじきせき)」、ポール・セザンヌの「カード遊びをする人々」、ポール・ゴーギャンの「ネヴァーモア」が注目どころではありますが、その他にも素敵な作品がたくさんありました。

そこで、MUTERIUM編集部 玉木、荻両名それぞれがコートールド美術館展で個人的に気に入った絵画ベスト5をご紹介したいと思います。

エドゥアール・マネ「フォリー・ペルジェールのバー」

フォリー=ペジェールのバー
1882 Edouard Manet,oil Canvas The Courtauld Gallery

やはり今回のコートールド美術館展の目玉だけあって、見応え、存在感が抜群でした。当時のフランスパリのミュージックホールであるフォリー・ペルジェールの様子がリアルに感じることができ、まるでその場の時間を切り取ったよう。向かって左下のボトルにマネのサインが入っていたり、マネの彼女兼モデルであったメリー・ローランがこっそりと白いドレスで描かれていたりとサブストーリーも盛りだくさんで面白い。
後ろの鏡像の中のバーテンダーの位置が奥行きの見せ方として秀逸(実際はあの位置には写り込まないですからね)で、写真では表現できない絵画だからこその世界観に感動。

ポール・セザンヌ「曲がり道」

曲がり道
1905 Paul Cézanne Canvas The Courtauld Gallery

セザンヌの作品の中でもかなり大きいサイズ(73×92cm)の風景画。亡くなる前年に描かれたと言われており未完で終わっている。未完成ならではのセザンヌの独特のタッチが見れてなるほどと思いました。短い線を重ねる手法で自然を幾何学的なデザインに落とし込んだ統一感が気に入りました。

ポール・ゴーギャン「ネヴァーモア」

ネヴァーモア
1897 Paul Gauguin The Courtauld Gallery

ゴーギャンが2度目のタヒチ滞在の時に制作したあまりにも有名な「ネヴァーモア」アメリカの詩人・小説家のアラン・ポーの”大鴉”に記されている「NEVER MORE」と鳴く神秘の鴉との関係性が常にこの作品にはついて回るが、本人は友人に宛てた手紙でこれを否定している。横たわっている裸婦を見る鴉と背後の二人の女性。色々と考えさせられる作品。

ジョルジュ・スーラ「クールブヴォワの橋」

クールブヴォワの橋
1863 Georges Seurat The Courtauld Gallery

こちらも幾何学的要素の強い作品。グランド・ジャット島から橋への眺めが描かれている風景画。点描で描かれたこの作品は色彩を隣り合わせに置くことで人間の網膜で混ざり合うことを計算しているなんてすごいことだと思いませんか?と思わず誰かに言ってみたくなった。

ポール・セザンヌ「アヌシー湖」

アヌシー湖
1896 Paul Cezanne The Courtauld Gallery

作品自体の美しさもさることながら、強く印象に残ったのがこの絵にまつわるストーリー。セザンヌはこの風景をまるで「若い女性の旅行アルバムによく見るような景色」などと言いながら描いたとのこと。まるで現在のインスタ映えに逆らうアーティストの心情のよう..とクスッとしてしまいました。
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編集部 荻が選ぶ コートールド美術館展お気に入り作品ベスト5

記事作者_icon
MUTERIUM 編集部
フランスが好き。アートにはずっと興味があるがなかなか触れ合う機会が持てなかったので、今回はいい機会だと思っている。とにかく好きなことしかやらない、興味ない人

ポール・セザンヌ「ノルマンディーの農場、夏」

ノルマンディーの農場、夏
Paul Cezanne 1882 oil, Canvas The Courtauld Gallery

コートールド美術館展では、セザンヌが画家に宛てた手紙が公開されています。その手紙の中で印象的だったのは「進歩を実現するためには自然しかない」「取り組むべき真の素晴らしい研究対象は、自然が目の前で繰り広げる多様な光景」など、セザンヌがいかに自然を重視していたかが分かる記述。
これだけ美しい緑を描けるのは、セザンヌの自然への探求心の賜物ではないかと感じました。ちなみに、コートールド美術館展の解説によると、コートールドはセザンヌの自然への眼差しを高く評価していたそうです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「ポン=タヴェンの郊外」

ポン=タヴェンの郊外
Pierre-Auguste Renoir 1888-1890 oil, Canvas The Courtauld Gallery

フランスの産業革命によって鉄道が発達し、中流階級の人々が余暇を郊外で過ごすようになったそうです。その風景を当時の画家たちが捉えるようになり、フランス郊外の風景絵画が増えたとコートールド美術館展では説明されています。

そうした時代背景の1つとして紹介されていたこの作品。コートールド美術館展で本物を見ると、絶妙な色彩に吸い込まれます。

クロード・モネ「アンティーブ」

アンティーブ
1882 Paul Cezanne The Courtauld Gallery

同じくフランス郊外の絵画ですが、これもコートールド美術館展に展示されている本物の輝きが素晴らしかったです。水がキラキラ反射しているような眩しさがあり、まるで写真のような、むしろ写真以上に美しい絵画だと感じました。

ウジェーヌ・ブーダン「ドーヴィル」

変更してください
1863 Eugene Boudin The Courtauld Gallery

コートールド美術館展の解説によれば、産業の発展とともに、風景画に鉄道が描かれるなど、フランスの都市や郊外の変化が絵画で表現され始めたそうです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「桟敷席」

変更してください
1874 Pierre-Auguste Renoir The Courtauld Gallery

コートールド美術館展公式サイトの見どころなどでも紹介されている絵画。実は、コートールド美術館展に足を運ぶまではそれほど興味は持っていませんでしたが、ココートールド美術館展の解説を読んで好きになりました。

コートールド美術館の解説によると、桟敷席は当時のモードファッションに身を包んだ人々が集まる場所で、ファッション誌にも登場していたそうです。
そのため、桟敷式は公演を観るためだけの場所ではなく、観られるための場所でもある。この絵画の女性が舞台ではなくこちらを向いているのは、そうした見られている意識によるものではないかという解釈が説明されています。

当時のフランスにおける桟敷席の意味と絵画が繋がり、面白いと思いました。

皆さんが好きな絵画はありましたか?「私もこの作品が好き!」という方や「私はこっちの方が好き!」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

コートールド美術館に行かれた方は、ぜひご自身のお気に入り作品とこのレビューを比較してみても楽しいかもしれませんね。

まとめ~総評レビュー~

コートールド美術館展は、絵画に詳しい方もそうでない方にもおすすめです。

実際に、レビューを書いている私自身も決して「絵画が好き!」「印象派大好き!」というわけではありませんが、気付いたら2時間以上コートールド美術館展で過ごしていました。そのくらい内容が充実していて楽しかったです。

コートールド美術館展は、画家が描いた手紙などを交えながら「どんな気持ちでこの絵画を描いたのか」などに焦点を当てていたり、人気の作品には分かりやすい解説がついていたりして、とっつきやすかったです。また、フランスの時代背景を追いながら絵画が紹介されているので、歴史の勉強にもなりました。

実は、今回コートールド美術館展が開催されたきっかけは、ロンドンのコートールド美術館の改修工事だそうです。普段はほとんど国外に出ないコートールド美術館の作品が、改修工事を機に20年ぶりに来日したとのこと。

つまり、今回のコートールド美術館展は、次にいつお目にかかれるか分からないとても貴重な美術館展だということ!この機会、見逃せませんね。

コートールド美術館展、ぜひ足を運ぶことをおすすめします。

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