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「ビエンナーレ」や「トリエンナーレ」といった言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
近年では雑誌や広告、チラシなどの様々なメディアを通して、よく目にすることがあります。今回は最近の芸術祭から歴史ある有名なものまで、ビエンナーレとトリエンナーレの違いもふまえて、分かりやすく解説していこうと思います。
まずは基礎知識、ビエンナーレとトリエンナーレとは
ビエンナーレとトリエンナーレ、簡単に言うとどちらも「国際的な芸術作品の展示会・芸術祭」のことを指します。
まずはビエンナーレからご説明しましょう。ビエンナーレとは、イタリア語で2年に一度、2年周期という意味です。いわゆる隔年制ですね。綴りはbiennaleになり、2年に一度開催される大規模な芸術祭のことを指します。
日本に限らず世界では多くの土地でビエンナーレが開催されており、最近では美術、ファインアートの他にも、デザインや建築などの分野でもビエンナーレとして2年に一度開催されています。といってもやはりデザインや建築などのビエンナーレは公募展といった形で開催されるものが多く、「ビエンナーレ」はコンクール形式のものと、そうでない、芸術作品の展示だけのものがあります。
次にトリエンナーレです。トリエンナーレとは、イタリア語で3年に一度、3年ごとという意味になります。綴りはtriennale。3年に一度開催される大規模な芸術祭のことを指します。ビエンナーレと同じく世界各地で開催されていますので、ここで紹介している祭典以外にも是非調べてみてください。また日本ではビエンナーレよりトリエンナーレの方が多く開催されています。今年だと現在開催されているあいちトリエンナーレが、来年は横浜トリエンナーレが有名どころとなっています。
いつか観たい、世界の有名なビエンナーレやトリエンナーレ
歴史のある、世界的にも有名な海外のビエンナーレやトリエンナーレを紹介します。
「ヴェネツィア・ビエンナーレ」
イタリアのヴェネツィアで1895年から開催されています。100年近い歴史を有し、世界で最も歴史のある現代美術作品の祭典になります。このもっとも長い、歴史のある芸術祭をはじまりとして「ビエンナーレ」の形式は世界に広まっていきました。この芸術祭の特徴として、毎回「優秀賞(金獅子賞)」という名誉ある賞が優秀な作品に贈られます。なので「美のオリンピック」と呼ばれるほどに、大きな注目を集める国際展示会のひとつになっています。現代芸術の最新作の発表の場、まさにオリンピックとして、作品は国単位での出展となっています。事前に国内で選出されたキュレーターとアーティストが各国専用として設けられた展示会場にて展示を行います。
「サンパウロ・ビエンナーレ」
ブラジルのサンパウロにて開催される国際展示会です。第2次世界大戦後に新設された祭典であり、1951年から行われています。こちらもヴェネツィア・ビエンナーレ同様、歴史ある現代美術作品の芸術祭です。南米で行われる世界的な最新の現代美術の展示会ということもあり、ヴェネツィア・ビエンナーレとはまた異なる特色の作品を見ることができます。こちらも世界から大きく注目を集める祭典になります。過去にはパブロ・ピカソの《ゲルニカ》、日本のハイレッド・センター、Chim↑Pomなどの有名なアーティストの作品も数多く展示されました。
「ミラノ・トリエンナーレ」
イタリアのミラノで開催される美術の国際展です。元々は1923年にモンツァで装飾芸術のビエンナーレとして開催されていましたが、1930年からはトリエンナーレとして、また1933年から会場がミラノに移りました。ミラノに移った同じ年にトリエンナーレが開催され、その時に博覧会国際事務局(BIE)によって国際博覧会(特別博)に認定されることになりました。しかし2001~2004年の開催は認定外となっています。ミラノ・トリエンナーレでは現代美術に限らず、デザイン・ファッション・建築・都市計画・メディアアートなど、産業と芸術との関係を扱った祭典になっていることが特色になっています。2019年の今年にも開催されており、第22回を数える歴史ある芸術祭になります。今年のサブタイトルは「Broken Nature」、Design Takes on Human Survival(デザインが人類の生き残りを担う)。展示されている作品には環境破壊を訴えた作品、人間と自然との共存を問う作品が多くあります。出品作家は世界各国から参加しており、それぞれの国の視点を感じられるようになっています。しかしトリエンナーレといっても、ヴェネツィア・ビエンナーレほど巨大な祭典ではないようです。美術館単体での展示や開催が多いので、芸術祭のなかでもわりとゆったりとした時間を過ごせるかもしれません。
国内でも続々開催。日本のビエンナーレとトリエンナーレ
日本のビエンナーレ・トリエンナーレといった芸術祭では、地域と関わりのある作品展示がやはり多いですね。
「瀬戸内国際芸術祭」
瀬戸内海の島々、主に香川県の島(直島、豊島、小豆島など)で3年に一度開催されています。メインはアジアの作家がやはり多いですが、国際的な芸術祭なので毎回多くの美術ファンや観光客に人気です。2010年から開催された新しいトリエンナーレ形式の祭典で、特徴としては開催期間が季節ごとに分かれていることです。海に囲まれた離島の島々が舞台なので、会期の度にその土地の季節の変化ごと、アートと共に楽しむことができます。祭典の指揮は北川フラムが担当しており、2019年の今年は春・夏・秋と3つの会期に分かれ、1年にわたり開催されています。開催の度にテーマも変わったり、会期も毎回変動したりしますが、現代美術の芸術祭として常に変化する様子を楽しむことができるので、次回の開催への期待も膨らむ展示会になっています。
「横浜トリエンナーレ」
横浜市で3年に一度開催する現代美術の国際展です。この芸術祭は2001年から行われており、国際的に活躍するアーティストの作品を多く展示してきました。都市部での展示ということもあり、新進のアーティストも幅広く紹介し、世界の最新の現代美術の動向を提示しています。多角的な視点で、世界と日本、社会と個人の関係からアートの社会的な存在意義を問い直すような作品が多い傾向にあります。前回は2017年に開催したので、次の開催時期は2020年になります。東京オリンピックと同時期の開催になりますね。交通の渋滞やホテル代も高騰するとの噂ですので、来年の横浜トリエンナーレを巡る際の計画はしっかりと立てておいた方が良いかもしれません。
2019、2020年に行われる予定まとめ
さて、世界的な芸術祭の魅力も少しずつ分かってきたところで、2019年、2020年に開催予定のビエンナーレとトリエンナーレ、その他の芸術祭を紹介します。
2019年 注目の芸術祭
「ポーランド芸術祭2019 in Japan」
会期:2019年5月18日(土)~2019年6月23日(日)
会場:京都芸術センター 、 世界遺産・二条城(予定)、 ザ・ターミナル・キョウト、 他
「あいちトリエンナーレ2019」
会期:2019年8月1日(木)~2019年10月14日(月・祝)
会場:愛知県名古屋市・豊田市の各会場
愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市内のまちなか(四間道・円頓寺地区など)、豊田市(豊田市美術館及びまちなか)
「Reborn-Art Festival 2019」
会期:2019年8月3日(土)~2019年9月29日(日)
会場:牡鹿半島、石巻市街地、網地島、松島湾(宮城県石巻市、塩竈市、東松島市、松島町、女川町)
「中之条ビエンナーレ2019」
会期:2019年8月24日(土)~2019年9月23日(月・祝)[31日間 無休]
会場:群馬県中之条町
中之条町の5エリア(中之条・伊勢町、伊参、四万温泉、沢渡・暮坂、六合)
「六甲ミーツ・アート」
会期:2019年9月13日(日)~2019年11月24日(月)
会場:兵庫県 六甲ガーデンテラス
「KOBE 2019「TRANS-」」
会期:2019年9月14日(土)〜2019年11月10日(日)
会場:兵庫県神戸市
兵庫港地区、新開地地区、新長田地区
「岡山芸術交流2019」
会期:2019年9月27日(金)~2019年11月24日(日)
会場:岡山県岡山市
岡山城・後楽園周辺のカルチャーゾーン
2020年 注目の芸術祭
「さいたま国際芸術祭2020」
会期:2020年3月14日(土)~2020年5月17日(日)[予定]
会場 :メインエリア
(大宮エリア)
旧大宮区役所、旧大宮図書館、大宮盆栽美術館、
鉄道博物館
その他
彩の国さいたま芸術劇場、埼玉県立近代美術館、
うらわ美術館、さいたま市文化センター、
岩槻人形博物館(会館予定)、その他市内各所
「ヨコハマトリエンナーレ2020」
会期:2020年7月3日(日)~2020年10月11日(日)
会場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)、
プロット48(みなとみらい21中央地区48街区)
「奥能登国際芸術祭2020」
会期:2020年9月5日~2020年10月25日[予定]
会場:奥能登・珠洲市ほか
「東京ビエンナーレ2020」
会期:???
会場:千代田区、中央区、文京区、台東区の4区にまたがるエリア中心
「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」
会期:2020年秋
会場:尾道市、三原市、福山市の各中心部+百島、小佐木島
こうしてスケジュールを並べてみると、日本国内でも様々な場所で行われていますね。
他にも全国各地で芸術祭が開催予定ですので、是非ともチェックしてみてください。