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今よりもちょっと広い部屋に引っ越す。新居を建てた。自分の部屋の雰囲気を変えたい時。住居空間を現代風にイメージチェンジするインテリアには、モダンな絵画がピッタリです。自分が毎日帰る場所は、居心地良いものであってほしいものですから、お気に入りの一枚を探したいところ。
作家もののオリジナルを自分で見つける醍醐味もありますが、大きさによってはなかなか高価で手が出ないこともありますよね。しかし、「アートは高いから」と家に絵を飾ることを諦めるのはまだ早い。有名作品のポスターを額装したり、壁掛けのアートパネルをリビングに飾るだけでも、十分におしゃれな空間を演出することができます。
また絵画は時代が新しいほどモダンな印象ですから、飾れば新鮮な雰囲気になるでしょう。今回は、どんな家にも合うモダンなインテリア絵画の選び方をご紹介します。
おしゃれなインテリアモダン絵画の選び方
たとえば、油絵やアクリルペイントは特に、ギャラリーやデパートで販売されていても高額です。版画の作品はエディション(刷数)が多いほど安価になるものの、有名な作家ほど高額なのに変わりはありません。
夫婦共働きの家庭など、収入に余裕があればアート作品をコレクションする趣味も可能になるかもしれませんが、一人暮らしや方働きの一般家庭にはなかなかオリジナル作品を集めるのは難しいでしょう。また、頻繁に部屋のレイアウトを変えたい人にとっても、壁掛けの絵画は部屋の雰囲気を大きく変えますから、インテリアのひとつひとつに大金を叩けないこともありますよね。
そんな時には、ポスターやアートパネル、写真、安価な海外アーティストの作品、または初めからインテリア商品として大量生産されるプロダクトとしての絵画もおすすめ。それらを詳しくみていきましょう。
有名アーティストのポスター、アートパネル
アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタイン、キース・ヘリングなど
ポップアートやグラフィティアートはインテリア絵画の定番。コンクリート打ちっ放しの住居など、モダンな空間に飾ればよりクールでおしゃれな印象になります。
しかし、それらの作品はたとえオープン・エディション(刷数に上限がない版画)でも10万円前後はします。世界的に有名な作家の作品がその程度で手に入るということはかえって驚きですが、それでも手が出ないという人も多いはず。
しかしどうしても有名アーティストの作品を家に飾りたい!という時には、ポスターやパネルとして売られている作品がおすすめ。amazonや楽天などオンラインショッピングで簡単に手に入れることができ、すでに額装されているものもあるため商品が届いたらすぐに飾れるものも多いです。
ポスターは単体で数千円。木枠やフォトフレーム付きで一万円前後で購入が可能。パネル仕立てでも一万円前後で販売されています。ウォーホルやバンクシーなど、人気アーティストの作品をこれだけ安価に手に入れられるのですから、気に入った作品はたくさん揃えたくなりそう。
モノトーンの作品や油絵風のアートパネルなど、モダンな作品を多く揃えればコーディネートも腕が鳴りますね。ソファーや収納用品など家具を動かさなくても、インテリア絵画などの装飾を動かしたり変えるだけでもガラリと部屋の様子は変わりますから、迷った時にはとりあえずネットで一点、ポスターを購入してみることをおすすめします。大きいポスターでも、オンラインで購入すれば店舗から持って帰る手間も省けます。
写真作品
写真の作品は、たとえ有名アーティストの作品でも比較的安価に手に入ります。写真作品も版画と同じようにエディションを作る場合もあり、10万円〜と高価なアート写真もありますが、オープンエディションのものや若手作家の写真作品なら数千円〜一万円程度で購入が可能。
特に若手写真家の作品は、ぜひギャラリーに赴いて購入してみてはいかがでしょうか。作家との交流もでき、サイズの小さいものは「こんなに安くていいの?」と思うほど安価なものも見つかったりします。
モノクロのフィルム写真などはインテリアとしても非常にモダンでおしゃれですし、写真一枚でも撮る写真家の着眼点や技術、カメラの種類などで大きく異なります。「自分で撮った写真で十分」と思っている人には、ぜひ作家の作品を見てほしいところ。
好きな作家が見つかったら、新作ができるたびに連絡してもらって作品を購入するのもいいですね。そうして作家を支援しながら自分もお気に入りの作品を集められますから、若手作家とは気軽にギャラリーを訪ね交流しに行くのがおすすめです。
特に写真作品の中でも風景の写真などは、窓のない地下室などの圧迫した空間に開放感を与えることができます。このように写真や絵画など平面作品は、飾る場所と作品のあらゆる「化学反応」で思わぬ効果を生み出します。インテリアに退屈してきた時には、絵画や写真を飾って見ましょう。
バリ絵画
「バリ絵画」というのは、西洋的な絵画とはルーツが異なる、元々はバリ独自に発展した祭礼や儀式のために奉納される絵画のこと。伝統バリ絵画の多くは仏画のようなアンティークな絵画で、モダンなインテリアとは言えません。
しかし、現代のバリ絵画は非常にモダンであり、ホテルのインテリアとしても人気。西洋絵画やデザインとの出会いにより、バリ絵画は大きく変遷をたどったのです。2006年に世界で初めて開催されたオークションにより、モダンなインテリア絵画としてバリ絵画の知名度が徐々に広まってきました。
バリ絵画はプロダクトとして印刷されたり大量生産されるようなものではなく、青年画家により描かれるオリジナル作品。それでも価格設定が安価なものが多く、大きな作品でも一万円前後で手に入れられるものもあります。
バリ絵画の中でも「シュピース・スタイル」と呼ばれる、ゴーギャンや田中一村のような南国の楽園の風景を思わせる幻想絵画を家に飾れば、一気にロハスな雰囲気に。インテリアも合わせてバリ風のアジアンインテリアにすれば、まるで日本にいながら海外旅行をしているような室内になるでしょう。
また、近年は抽象的なバリ絵画も人気。西洋絵画との出会いで発展してきたバリ絵画も、アメリカの抽象表現主義やミニマルアートの影響を受け、とてもモダンな作品が増えてきています。
ピエト・モンドリアンやバーネット・ニューマンのような抽象的なバリ絵画の多くは横長のキャンバスで、視覚を埋め尽くすような色彩が特徴。それに、エミリー・ングワレーなどオーストラリアのアボリジニアートに影響を受けたドットペインティングも、モダンなバリ絵画として人気のジャンルです。
バリ絵画は思っている以上にモダンであり、インテリア絵画としても非常に安価。新入社員の初任給でも十分手に入れられるほどの値段の商品としてネット通販で扱われているので、一人暮らしの記念にも、インテリアの模様替えのきっかけにも、気軽に手に入れてみてはいかがでしょうか。
プロダクトのモダン絵画
安価な北欧インテリアストアのIKEAや、おしゃれなインテリアの代表格であるfranfran、またヴィレッジヴァンガードなど、あらゆる店舗でアートパネルや額装されたアートポスターが多く取り扱われています。特別、伝統絵画や有名アーティストの作品に興味がなくても、そういったインテリアとして売られている絵画や写真の商品を飾るだけでも見栄えがするものです。
初めからインテリア絵画として大量生産して売られているアートパネルやポスターデザインは飛び抜けて安価であるのが特徴的。その分、絵画や写真としてのクオリティは下がることがありますが、よく探せば自分の家のインテリアにマッチするモダンな写真や可愛い絵画が見つかるはず。
これらのような安価なアートパネルやポスターは、オリジナルの絵画や版画などのアートと異なり絵の具の盛り上がりや紙の質感といった立体感がないので、アートの真髄は含みません。しかし、インテリアとして部屋を充実させるには役立ちます。
また、蝶など虫の標本を飾る勇気がない人も、「標本の写真」やデザインなら抵抗感なく飾れるでしょう。写真やデザイン画、絵画はトイレやリビング、玄関など、殺風景な空間を華やかに、またはクールにモダンに仕上げてくれますから、本物のアートを手に入れるまでのつなぎとしても家に数枚あれば、新居に引っ越した時も空間のバランスが取れそうです。
オフィスや店舗にモダンな絵画を
よく、海外ドラマのオフィスのシーンなどでは特に、壁にモダンな絵画を飾っているのを見かけると思います。そのように、自分のオフィスや仕事場には、自分の仕事に対する姿勢や理想、哲学を反映したモダンなアートを飾りたいという人は多いのではないでしょうか。
アートは美学だけでなく哲学とも関連が深いですから、自分が賛同するコンセプトを持った作品をインテリアとしていつでも目に入るところに置けば、日常的な意識もいっそう引き締まるでしょう。
また、オフィスや店舗など、人がたくさん集まる場所で、よりアートな空間にしたいというときには、ウォールアートを手がけるグループやプロジェクトに協力してもらい、壁一面に社風に沿った絵画を描いてもらうのも素敵。アートには人々の意識を共有して一つにする力がありますから、広いオフィスや社員食堂にウォールアートを設置することは新進気鋭の会社におすすめです。
モダンな絵画をインテリアとしてディスプレイするコツ
モダンな絵画や写真、アートパネル、ポスターは、どうやって家の中に飾ればいいのかわからない時もあるでしょう。ただ、モネやルノワールなど人気の印象派作品はよっぽどモダンな空間でない限りどうしても古ぼけた雰囲気を与えてしまいますが、モダンな絵画はインテリアと合わせてコーディネートすることで、空間がパキッと新鮮でおしゃれな雰囲気にしやすいです。
抽象的なモダンアートは他のインテリアと合わせてカラーコーディネートを
たとえば、マーク・ロスコのような色数の少ないモダンな抽象表現主義絵画のなかで、赤と黒を基調とした《RED》を部屋に飾るとしたら、同じくインテリアも赤と黒を取り入れたり、親和性の高い白を基調としたインテリアを揃える、もしくは相対的に青やグリーンを差し色にするなど、好みによって多くの選択肢ができます。
また、流行色やインテリア雑誌でトレンドのカラーリングを取り入れてもいいですね。もしインテリアがシンプルなモノトーンやアースカラーなど控えめな色合いなら、どんな色味のモダンな絵画や写真も合わせやすくなるので、絵画を飾る部屋のインテリアのカラーコーディネートにおすすめです。
逆に部屋や壁紙に色彩が富んでいて落ち着きを加えたければ、モノクロ写真や版画のアートパネルやフォトフレームがマッチするでしょう。
アートパネルは立てかけるだけでもおしゃれ
家によっては、ピクチャーレールが無かったり、賃貸など壁に画鋲などで穴を開けられなかったり、絵画や写真を壁面に吊って飾ることができない物件もありますね。それでも、インテリアにアートのある生活を諦めるのはまだ早いのです。
実は、モダンな絵画ほど、床に直接置いて壁に立てかけると現代風でおしゃれな印象を与えられます。作品が大きなぶんスペースはとりますが、縦長のパネルなどはまるで掛け軸のような雰囲気もあり、日本家屋もよりモダンな空気になるかもしれません。
小さな絵画は本棚の中や棚の上に立てかけるのも、洋風でとてもおしゃれです。キャンバスなど、油絵の作品をそうして立てかけて飾れば、より高尚に見える絵画もカジュアルに演出が可能です。
ポスターはフレームをつけて額装しよう
ポスターや写真など、ペラペラした紙のアートは、そのまま壁に貼ってしまうとティーンエイジャーの部屋のような印象で、カジュアルすぎるでしょう。額縁やフォトフレームをインテリアに合わせて選び額装することで、たとえポスターでもアートとしての「格」をあげることができます。
大きなポスターなどはそれだけ大きなフレームが必要ですが、無印良品などにもシンプルで他のインテリアを邪魔しないフレームも売っていますから、ネット通販でそれらの商品を注文してしまいましょう。
絵画はフレームによって、モダンにも可愛らしくも変化します。自分の家のインテリアに合わせ、額装してより自分の好みにしてみるのもいいかもしれません。額装すれば床置きで展示することもできます。小さな写真作品などは写真立てに入れて飾っても素敵でしょう。
まとめ
現代の日本人は欧米人と比較して、よりアートと生活が分断している印象があるといいます。欧米ではプレゼントとして作家もののアート作品を購入することも一般的だと聞くと、その差は歴然でしょう。
その理由には、「アートがよくわからない高尚なもの」という印象も原因の一つ。しかし、絵画や写真には驚くほど色々な種類があるものです。きっと、中には自分の好みの美しい作品や面白い作品があるはず。
興味はあるけど美術館やギャラリーに通うのは敷居が高い…という人にこそ、「インテリアとしてアートをみる」という視点を持つことをおすすめします。自分の部屋やリビング、廊下、玄関を素敵にモダンに飾りましょう。インテリア雑貨感覚で絵画をみていくうちに、美術のことがわかってくるかもしれません。